このような症状はありませんか?
息切れとは、呼吸が不十分で酸素を体内に取り込めないため、息苦しさや呼吸困難を感じる状態のことを指します。激しい運動で息切れや動悸を感じることは一般的ですが、一部では深刻な病気が隠れていることがあります。以下のような症状がみられる場合には注意が必要です。
よくある息切れの症状
- 軽度の運動でも息切れが起こる
- 平地を歩くだけで息切れする
- 階段を休まずに登れない
息切れとは
息切れは、血液中の酸素不足や二酸化炭素の過剰が主な原因です。酸素不足は頸動脈にあるセンサー、二酸化炭素の過剰は脳の延髄にあるセンサーが感知し呼吸を促しますが、これを息切れと感じます。肺疾患や心疾患で呼吸が不十分な場合や、貧血で酸素の運搬を担うヘモグロビンが低下している場合が、代表的な状態です。
息切れの症状とは?
息切れの症状とは、一言で言えば息が切れることですが、具体的な症状は人によって異なります。例えば、息が苦しい・空気が吸えない・呼吸が苦しい・息が詰まる・胸が苦しいなど、様々な症状が息切れと表現されます。
異常を示すサイン
- 軽い運動をしただけで、肩で息をしている
- 少し階段を登るだけで休憩が必要
- 会話中に息継ぎが必要
これらの症状が頻繁に現れる場合は、体に異常をきたしている疑いが強くあります。動悸、気分の悪さや倦怠感も出ることがあります。これらの症状は個人差があり、年齢のせいと思われがちですが、心臓疾患やその他の病気が原因の可能性もありますので、早期発見のために早めの受診が必要です。
息切れの程度
息切れの程度する評価方法はさまざまありますが、現在は修正MRC息切れスケール(mMRC息切れスケール)が一般的に使用されます。
このスケールでは、日常生活において息切れが起こる頻度や強度を評価します。スケールは、Grade0からGrade4の5段階で評価され、Grade5は「最も重度の息切れである」という状態を表します。
mMRC息切れスケール
Grade0 | 激しい運動をしたときだけ息切れがある |
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Grade1 | 平坦な道を早足で歩く、あるいはゆるやかな上り坂を歩くときに息切れがある |
Grade2 | 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき、息切れのために立ち止まることがある |
Grade3 | 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れのため立ち止まる |
Grade4 |
息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをするときにも息切れがある |
mMRC息切れスケールが2以上で何らかの疾患があることを疑います。
息切れの原因
息切れの原因となる疾患には、心不全などの循環器系の問題、気管支喘息などの呼吸器系の問題、その他にも貧血や甲状腺機能疾患などがあり、様々な原因で息切れが起こります。
原因1:循環器の問題
- 心不全
- 肺塞栓症
- 肺高血圧症
- 冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
- 不整脈
など
心不全
心不全では心臓のポンプ機能が低下し心臓から血液をうまく拍出できず、また心臓にうまく血液が戻ってくることができなくなります。そのため肺に水が溜まって肺水腫となったり、胸水が貯留したりして息切れを感じます。
肺塞栓症
肺塞栓症では肺動脈に主に足の静脈などでできた血栓がつまり、急性の呼吸困難を生じます。
肺高血圧症
肺高血圧症では心臓から肺に血流を送る肺動脈の流れが悪くなり、肺動脈の血圧が高くなります。心臓の負担が増し、息切れを生じます。
冠動脈疾患・不整脈
冠動脈疾患や不整脈の症状が息切れと表現されることもあります。
循環器の問題では心音の聴診や心電図、胸部レントゲン写真、心エコー検査が診断の参考になります。
原因2:呼吸器
- 気管支喘息
- COPD(慢性閉塞性肺疾患、肺気腫)
- 肺炎
- 間質性肺炎
- 気胸
- 肺がん
など
呼吸器に問題がある場合、肺にうまく空気を取り込めなかったり、肺胞で酸素と二酸化炭素をうまく交換できなかったり、空気をうまく吐けなかったりすることが原因で息切れを感じます。
特徴的な呼吸方法や聴診所見、胸部レントゲン写真や胸部CT検査が診断の参考になります。
原因3:その他の身体疾患
- 貧血
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
- 腎不全
- 肝硬変
など
貧血では酸素の運搬を担う赤血球が低下し、血液中の酸素飽和度は十分であるにもかかわらず、体全体として酸素不足の状態であり、息切れを感じます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では甲状腺ホルモンが過剰に生産・分泌され、体の代謝が常に亢進している状態、常に軽い運動をしているような状態であるため、息切れを感じることがあります。
原因4:ストレスやメンタルの問題
ストレスや精神疾患を背景として息切れを感じることがあります。特に不安障害、パニック発作では身体には何も異常がないのに突然激しい息切れを感じ、このまま死んでしまうのではないかという恐怖に陥ります。一般に「過呼吸症候群」と呼ばれます。
命に関わる問題ではないことを理解し、ゆっくりとした呼吸を心がけると自然に軽快します。しかしながら発作中の苦しみは大変大きく、エチゾラムやロラゼパムなどの抗不安薬を要することもあります。
息切れを感じたとき何科を受診する?
息切れを感じたとき、何科を受診するが悩む場合があると思います。息切れの主な原因は呼吸器疾患や循環器疾患であるため、呼吸器内科もしくは循環器内科を標榜しているクリニックもしくは総合病院がおすすめです。
呼吸器内科医と循環器内科医は日常的に息切れの診察をしています。例えば循環器疾患が原因の息切れであったとしても、呼吸器内科医はスムーズに診断・鑑別でき、循環器内科医に紹介することができます。逆もまた然りです。
息切れの診断方法
息切れの診断では、まず問診が重要です。
- 「いつ頃から息切れがあるか」
- 「どういうときに息切れが起こるか」
- 「安静で治まるか」
- 「胸痛を伴うか」
- 「むくみはないか」
などの病歴が参考になります。
検査では血液検査、胸部レントゲン写真、心電図、酸素飽和度測定が一般的に行われます。必要に応じて動脈血ガス分析、呼吸機能検査、胸部CT検査、心臓超音波検査(心エコー)も行うことがあります。
息切れの治療方法
息切れと動悸
息切れと動悸は、しばしば一緒に現れる症状です。この症状の原因となる疾患は、心不全、不整脈、肺疾患、貧血などが挙げられます。動悸や息切れが同時に現れる場合は、これらの疾患の可能性が高いため、早期の診断と治療が重要です。
息切れが起こりやすい人
息切れは、年齢に関係なく発生する可能性がありますが、高齢者や肥満者、喫煙者、健康状態が悪い人、運動不足の人など、特定のリスク要因がある人に一般的に起こりやすいです。ただし、若い年齢層でも、喘息や他の肺疾患が原因で息切れが起こることがあります。