動悸とは
- 胸がドキドキする
- 脈が速いと感じる
- 脈の飛び(欠帯)や不規則さを感じる
- 脈が強いと感じる
これらの症状はまとめて「動悸」と表現されます。動悸は、心臓の病気やストレスなどの身体的な問題の兆候として現れることがあります。
動悸とは?どんな症状がおこる?
動悸のセルフチェック項目
動悸を自己診断するための項目があります。ご自身の症状がどれに当てはまるかを「検脈法」で確認するとよいかもしれません。検脈法は、右手の人差し指、中指、薬指の3本で左手首の窪みを軽く押さえるように触れて脈拍を計測する方法で、不整脈のセルフチェックや運動時の心拍数の確認に適しています。
具体的なセルフチェック項目としては、以下のようなものがあります。
- 脈の不整を感じるか(検脈で脈が不規則になっているか)
- 脈は速く感じるのか、飛んで感じるのか、強く感じるのか
- 動悸の症状がなんとなく始まって終わるのか
- 動悸の発症と停止が突然起こるのがはっきり分かるか
- 症状が続く時間はどれくらいか(具体的な時間を計測してください)
- 動悸が起こった際に何をしていたのか(運動や飲酒など、具体的な行動の把握が必要)
受診の際に上記のような動悸の症状を伝えると、原因を探るための重要な情報が得られます。
「動悸」を引き起こす主な原因とは?
動悸を引き起こす原因は多岐にわたりますが、治療が必要な疾患によるものと、そうでないものがあります。
治療が必要なものとして不整脈などの心臓病、貧血、甲状腺機能亢進症、低血糖などが挙げられ、医療機関で専門的な治療が必要です。
ストレスや心因反応、更年期障害による動悸も多く、経過観察で問題ないことが多いですが、医療の介入で症状の改善が期待できることもあります。また喫煙やカフェイン・アルコールの摂取、薬の副作用でも動悸が生じることがあります。
「動悸」と心臓の病気の関係とは?
動悸の原因として最も気をつけなければいけないのは不整脈などの心臓病によるものです。不整脈の中でも「発作性上室性頻拍」「心房細動」「期外収縮」は症状として現れやすく、動悸の原因となることが多い疾患です。
不整脈以外でも、狭心症による胸痛や心不全による息切れを「動悸」として自覚する場合があります。
動悸の原因が心臓病によるものであったとしても命に関わるような重篤なものであることは稀ではありますが、治療法やケア方法を提案できる場合があり、万が一の重篤な疾患を除外するためにも、一度は医療機関を受診することをおすすめいたします。
心臓以外の原因で動悸を引き起こす疾患は?
心臓が原因でない場合、貧血、甲状腺機能亢進症、低血糖などの疾患が考えられます。これらは血液検査で簡単に鑑別できます。
しかしながら動悸の原因として最も多いのは「心因性」、つまりメンタルの不調によるものです。不安障害、パニック発作、うつ病などで「なんとなく動悸がする」「心臓のあたりが気になる」「息苦しい」という症状はよく生じます。また病名がつくほどの精神状態でなくても、ストレスの積み重ねで動悸を感じる場合もあります。
医療機関を受診する際に気をつけることは?
動悸が気になる場合、一度は医療機関を受診することをおすすめします。「何科を受診すればいいのだろう」と悩むことがあるかもしれませんが、循環器内科を標榜しているクリニックもしくは総合病院をおすすめいたします。循環器内科医は心臓の専門医ですが、それ以外の疾患が原因の動悸を訴える患者さまもたくさん診察しているため、診断がスムーズなことが多いです。
動悸の原因はどうやって診断する?
動悸の原因は多岐にわたり、様々な検査がありますが、何よりも「どのような動悸であるか」という問診が重要です。
- 「どのように始まったか(急に始まったか、気づいたら生じていたか)」
- 「どのように終わったか(急に終わったか、気づいたら終わっていたか)」
- 「何をしているときに動悸があったか」
- 「持続時間はどれほどであったか」
- 「頻度はどれくらいか」
- 「脈の乱れはないか」
- 「脈の速さはどれくらいか」
といった情報をもとに、ある程度原因の目星をつけることができます。医療機関を受診する際には、これらの情報を医師に伝えられると診断の参考になるでしょう。(ご自身でよくわからなくても大丈夫です。私達が適切に質問していき、診断を進めていきます。)
動悸の検査
初期検査としてはまず血液検査、心電図、胸部レントゲン写真を行います。これらで異常があれば、更に詳しい検査を行います。
しかしながら、異常が見つからないこともよくあります。「心因性による動悸」の場合と、「不整脈による動悸だけれど検査のときには不整脈が出ていない」という場合です。
動悸を専門にしている医師は、問診の段階で、心因性か不整脈かをほとんど区別できます。
心因性が疑わしく初期検査で異常がない場合は経過観察とするか、心療内科・精神科に紹介することがあります。
不整脈による動悸が疑わしいけれど初期検査で異常が見つからない場合、なんとかして「不整脈が起こっているときの心電図を捉える」ことが重要です。一般的な検査方法として24時間心電図(Holter心電図)がありますが、週1回程度の頻度で生じる動悸であればなかなか捉えられません(なぜかHolter心電図をつけているときには不整脈が起こりにくい気がします、気のせいかもしれませんが)。そこで動悸が起こったときに患者さまに自身で心電図を測定してもらう「携帯心電計」を利用したり、最近ではアップルウォッチなどのスマートウォッチで心電図が測れるようになったりして、動悸の診断に一役買っています。
動悸の治療方法は?
動悸の治し方は原因によりさまざまです。心臓病・不整脈が原因である場合、不整脈を起こりづらくしたり、不整脈を止めたり、心拍数をゆっくりにする薬物療法があります。また不整脈の原因となっている心臓内の異常部位をカテーテルで焼灼する手術もよく行われます。
心因性の場合は抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法が行われます。また薬物療法以外でも日常生活でのストレスケアが重要となり、ゆっくりと体を休める、深呼吸をする、カフェインやアルコール摂取を控えることで動悸症状が改善することがあります。
更年期障害の場合には漢方薬やホルモン補充療法が行われます。
動機でお悩みの方は当院にご相談ください
医療機関を受診される患者様の中でも、動悸の症状を抱えている方は非常に多いです。動悸には様々な原因があり、中には重篤な疾患が隠れている場合もあります。そのため、命に関わる原因となる疾患を見逃さないことが大切であり、動悸が起こった際には早めに医療機関を受診することが重要です。また、過去に動悸が起こったけれど検査を受けたことがない場合には、検査を一度受けておくことが推奨されます。まずは、セルフチェック項目で確認してみてください。診断時に有用な情報となるため、記憶しておくことが望ましいです。医療機関を受診する際には、自分の動悸症状がどれに当てはまるのか、可能な範囲で把握しておきましょう。
当院では動悸症状の患者さまを診断し、治療が必要な場合はどのような方法が最適か一緒に相談して治療を進めていきます。お気軽にご相談ください。