頭痛

命に関わらない頭痛と
命に関わる頭痛

頭痛は一次性頭痛と二次性頭痛の二つに分類されます。ほとんどの場合、一次性頭痛と診断されますが、命に関わることもあるため、慢性的な頭痛や重い頭痛がある場合は、早めに受診することをお勧めします。
特に慢性的な頭痛に苦しんでいる方は、日常生活にも大きな影響を与えるため、早期に原因の診断と適切な治療が必要です。当院では、患者様の症状に合わせた治療を提供していますので、一度ご相談ください。

命に関わらない頭痛
『一次性頭痛』

一時的に発生する頭痛を「一次性頭痛」と言い、片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などが含まれます。
これらは頭痛を繰り返す特徴があり、頭痛そのものを治療する必要があります。

片頭痛

原因・症状

片頭痛は、非常に強い頭痛が片側あるいは両側の頭に現れる病気です。痛みの頻度は人によって異なり、週に1回出現する方もいれば、月に1、2回という方もいます。痛みが始まると、数時間から3日間ほど続きます。多くの患者様が吐き気を合併することがあり、日常生活に支障をきたす場合が多いです。
また、片頭痛の特徴として、痛みが起きる前に視野欠損や、目の前にフラッシュ光が見えるなどの前兆がみられることもあります。女性患者の割合が多いです。片頭痛の原因については完全には解明されていませんが、長い間その発生メカニズムについて議論されてきた主要な理論の一つは、血管の収縮と拡張に関連するものでした。この「血管理論」によれば、片頭痛の発作は、初めに脳内の血管が収縮(血流減少)し、その後に拡張(血流増加)することで起こるとされていました。この血管の拡張が痛みと炎症を引き起こすという考え方でした。

しかし、近年の研究により、片頭痛の発生メカニズムについては神経生物学的なアプローチが主流になりつつあります。特に、「トリガミング理論」(trigeminovascular system theory)という新たな理論が提唱されています。これは、片頭痛が脳の深部、特に三叉神経系(trigeminal system)と関連しているという考え方です。

この理論によれば、片頭痛の発作は、特定のトリガー(ストレス、特定の食物、ホルモンの変動など)が三叉神経系を活性化し、痛み感受性を高める化学物質(CRGPと言います)の放出を引き起こすことで発生するとされています。これにより脳の血管が拡張し、さらに痛み信号が放出されるというプロセスが進行します。この神経活性化と血管の拡張が結びついて片頭痛の痛みが生じると考えられています。

したがって、片頭痛と血管の収縮・拡張の関係は、より広範な神経生物学的な文脈において理解されるようになっています。ただし、これらのメカニズムはまだ完全には解明されておらず、研究が続けられています。

治療

頭痛が起きた場合は、すぐに頭痛頓挫薬を内服することで痛みを和らげます。マクサルトやイミグランなどのトリプタン製剤やジタン製剤であるレイボーは、CRGPの放出を抑制することで頭痛を和らげます。月に4回以上など頭痛が頻繁に起こる場合は、予防薬の処方を検討することがあります。新薬であるエムガルティやアジョビはCGRPに結合することで効果を無効化し、片頭痛の予防に効果があります。また新薬であるアイモビーグはCGRP受容体に結合し、CGRPの効果を無効化して片頭痛を予防します。

緊張型頭痛

原因・症状

緊張型頭痛とは、頭や首の筋肉が緊張・収縮することで起こる頭痛で、多くの人が経験する病気です。原因は、同じ姿勢を続けたことによる血行障害やストレス、眼の疲れなどが考えられます。
主な症状は、頭が締め付けられるような重さや、首から後頭部にかけての鈍痛があります。時には、めまいや立ちくらみ、吐き気が起こることもあります。

緊張型頭痛は、運動やストレッチ、リラックスすることなどで緩和することができます。しかし、症状が強く長期化している場合は、医療機関を受診し適切な薬剤の内服が推奨されます。

治療

治療には、生活指導やストレッチなどで筋緊張を緩和する方法、そして筋肉を和らげる内服薬や血行改善の内服薬を使用することがあります。

群発頭痛

原因・症状

群発頭痛は非常に強い痛みを引き起こす頭痛で、その名前は発作が「群発」または一連の「クラスタ」で起こる特性から来ています。群発頭痛は比較的稀で、男性に多く見られます。
頭痛は1−2ヶ月続き、半年〜数年経過すると再度同様の頭痛が発症し、「群発」の様相を呈します。片側の頭痛、特に目の周囲眼球が腫れ上がる、涙が出る、鼻水または鼻詰まり、顔面の発汗、眼瞼(まぶた)の下垂、瞳孔の縮小といった特徴があり、他の頭痛とは明らかに異なります。
群発頭痛の原因は完全には理解されていませんが、脳の特定の部分(視床下部とされています)が関与していることが示唆されています。また、アルコールや一部の食品、物理的なストレス、季節の変化などが発作を引き起こすトリガーとなることがあります。

非常に強い頭痛が1−2ヶ月続き、またいつ襲ってくるかわからないため、患者様の身体的・精神的な負担はとても大きくなります。

治療

根治療法はなく、群発期には片頭痛で使用するトリプタン製剤を使用して頭痛の軽減を試みます。高濃度酸素吸入が有効であり、救急外来で使用されることがあります。片頭痛治療の新薬であるエムガルティは群発頭痛に有効であるとされ、米国では認可がおりていますが、日本国内では保険適応がありません。

命に関わる頭痛『二次性頭痛』

二次性頭痛は命に関わることもあり、何らかの病気の症状として現れる頭痛のことです。脳や頭部が原因である頭痛や、頭頚部の外傷、感染症、耳鼻咽喉領域の疾患、精神疾患、生活習慣病など様々な要因が考えられます。
なお、手足のしびれや麻痺などの症状もある場合は、特に注意が必要です。二次性頭痛の原因としては、脳出血や脳腫瘍などの重篤な病気等が挙げられます。原因が分からない頭痛でお悩みの場合は、なるべく早期の医療機関受診が望まれます。

よくある二次性頭痛の原因

など

診断について

頭痛の原因は多岐にわたり、個々に適切な治療方針が必要です。当院では問診・診察をもとに頭痛の原因を診断します。
MRIなどの詳細な検査を必要と判断した場合は、当院と連携している高度医療機関を紹介することもあります。

いつもと違う頭痛でお困りの方は当院にご相談ください

いつもと違う頭痛に悩んでいる方は、遠慮なくご相談ください。頭痛には、脳疾患が原因の場合や、脳疾患のリスクを知らせるサインとして症状が出ているケースもあります。
呂律が回らず会話に障害が出る、手足に力が入らないなどの症状がある場合、経験したことのないほどの強い頭痛である場合、段々と強くなる頭痛の場合は特に注意が必要です。
脳疾患は治療タイミングが治療の結果に大きく関係しますので、症状を感じたらすぐに受診をご検討ください。
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