最近の研究からわかってきたこと
赤羽ハート内科クリニック院長の古谷野です。
外来診療で多くの患者さんから「高血圧」についてご質問をいただきます。
「血圧の薬、本当に毎日飲まないといけないの?」「どのくらい下げればいいの?」という声もよく聞きます。
実は最近、血圧管理に関する考え方が大きく変わってきています。
中国のESPRIT試験やアメリカのSPRINT試験という大規模な研究で、血圧をしっかり下げることの重要性が改めて示されたのです。
「もっと下げる」方が良い理由
これまで長年、上の血圧(収縮期血圧)を140mmHg未満に保つことが目標とされてきました。
しかし、新しい研究では120mmHg程度まで下げることで、心臓病や脳卒中のリスクが明らかに減ることがわかりました。
先日も、「えっ、もっと下げた方がいいんですか?」と驚かれる患者さんがいらっしゃいましたが、上記の図を見せると、納得して治療に取り組んでくれました。
当院での血圧管理の取り組み
私たちのクリニックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた血圧管理を心がけています。
例えば、70代の女性患者さんの場合。最初は「薬を増やすのは嫌だ」と抵抗がありましたが、食事療法と運動療法を組み合わせながら少しずつ薬を調整していったところ、めまいなどの副作用もなく血圧が安定しました。
「頭痛がなくなった。」と喜んでいただけたのが印象的でした。
家庭でできる血圧管理のコツ
血圧の管理は、病院での治療だけでなく、日常生活での取り組みも大切です。
1. 毎日の血圧測定
朝と夜の2回、同じ条件で測ることをお勧めしています。
「測るのが面倒...」という方もいますが、記録をつけることで、ご自身の血圧の変化に気づきやすくなります。
2. 食事の工夫
患者さんからよく「何を食べればいいの?」と質問されます。実は特別な食事は必要ありません。
- 味噌汁は具だくさんにして、汁は半分残す
- 漬物は水にさっとくぐらせてから食べる
- 外食では麺類の汁は半分以上残す
こうした小さな工夫が積み重なって効果を発揮します。
3. 体を動かす習慣
「運動なんて無理...」という方も多いですが、特別なことは必要ありません。週に3回、30分程度の散歩から始めましょう。
4. お薬との付き合い方
「薬は飲みたくない」という気持ちはよくわかります。
でも、血圧の薬は症状を抑えるだけでなく、将来の脳卒中や心臓病を予防する「投資」のようなものです。
今しっかり管理することで、将来の健康を守ることができます。
当院の患者さんには、お薬手帳と一緒に血圧の記録もつけていただいています。
「グラフで見ると、ちゃんと効いているのがわかりますね」と実感していただけることが多いです。
安心して相談できる環境づくり
血圧の薬を調整すると、一時的にめまいなどの症状が出ることもあります。
「こんなこと、先生に言ってもいいのかな...」と思わず、どんな小さなことでもご相談ください。
最後に
最新の研究では、血圧をしっかり管理することで健康寿命が延びることがわかっています。
私たち医療スタッフは、皆さんの健康な毎日をサポートするパートナーでありたいと思っています。
血圧のことで気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
「あの時、相談してよかった」と思っていただけるクリニックであり続けたいと思います。
赤羽ハート内科クリニック
院長 古谷野康記